洗濯機

洗濯パンは掃除すべき?楽に掃除する手順やコツを詳しく解説



最近、洗濯機の近くから嫌な匂いがして困っています。

もしかすると、洗濯パン(防水パン)や排水口が汚れているかもしれません。匂いを予防するには、洗濯機の下の目に見えない部分も綺麗にすることが大切です。

洗濯パンとは、防水パンともいわれ、洗濯機を置くための防水素材(強化プラスチックなど)の受け皿のことです。洗濯パンには排水口が付いており、何らかの原因で水漏れが起きても受け止められる構造になっています。


洗濯パンは重量のある洗濯機の下にあるため、設置してから一度も洗ったことがない、という方も多いでしょう。


この記事では、掃除のプロが、洗濯パンを定期的に掃除すべき理由や、主な汚れの原因、簡単な掃除方法について分かりやすく解説します。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。

洗濯パンは掃除すべき!汚れを放置すると発生する事象を3つ紹介

洗濯機を購入してから、まだ一度も洗濯パンを掃除したことがありません。洗濯パンの汚れを放置すると、どのようなことが起きますか?

洗濯パンには、床下の排水管につながる排水口が付いています。洗濯パンの掃除を怠ると、排水管の詰まりや悪臭の原因になるため、小まめに掃除しましょう。

ここでは、洗濯パンの汚れを放置する3つのリスクを紹介します。

排水管が詰まり、汚れた水が逆流する

1つ目は排水管が詰まり、汚れた水が逆流するリスクです。


洗濯機の排水は、排水ホースを通じて洗濯パンの排水口に送られ、床下の排水管に流れ込んでいます。排水口を小まめに掃除しないと、排水に含まれるホコリや髪の毛、糸くず、洗剤カスなどの汚れが排水管の詰まりを引き起こし、排水が逆流する恐れがあります。


少量の水であれば、洗濯パンで受け止めることが可能です。しかし、大量の水が一度に逆流した場合、床や壁が浸水してしまう恐れがあります。

洗濯機から排水できず、排水エラーが発生する

2つ目は、洗濯機からうまく排水できず、排水エラーが発生するリスクです。


洗濯機には、排水不良を検知するとエラー番号を表示し、自動的に運転を停止する機能があります。排水エラーが表示される原因は、大きく分けて4つあります。


  • 排水フィルターが目詰まりしている
  • 排水ホースの水の流れが悪くなっている
  • 洗濯パンの排水口に汚れがたまっている
  • 洗濯機本体が故障している


こうした問題が解決されない場合、洗濯機が脱水中にエラー停止してしまいます。排水エラーが発生する場合は、洗濯パンが汚れていないか確認するとよいでしょう。

排水口から下水のような悪臭が上がってくる

3つ目は、排水口から悪臭が上がってくるリスクです。


排水溝の奥には、排水トラップと呼ばれる水がたまった場所があります。この排水トラップ内の水が「封水」です。


排水トラップには、封水で排水管にフタをして、公共の下水道から匂いが上がってこないようにする役割があります。


しかし、排水管が、洗濯機から出る汚れなどで詰まってしまうと、封水の水位が下がり、空気の通り道ができる可能性があります。洗濯機から下水のような匂いを感じたら、洗濯パンや排水口のお手入れが必要なサインです。

なるほど、洗濯機から嫌な匂いがする原因が分かりました。でも、洗濯機の下を掃除するのは大変そうです。

例えば、重量のあるドラム式洗濯機をお使いの場合など、自力で洗濯機を移動させるのが難しいケースもあります。その場合は、水回りのクリーニング業者に相談するとよいでしょう。

洗濯パンの汚れの原因はカビ・ホコリ・髪の毛・糸くず

洗濯パンを確認したところ、かなり汚れてしまっていました。洗濯パンが汚れる原因は何ですか?

主な汚れの原因は、カビ・ホコリ・髪の毛・糸くずの4つです。こうした汚れは、洗濯機を日常的に使用していく中で自然と蓄積します。

ここでは、洗濯パンが汚れる主な原因について解説します。

洗濯機の下は通気性が悪くカビが発生しやすい

洗濯機の周辺は湿度が高く、カビが好む条件が揃っています。


特に、洗濯パンは、洗濯機の下にあるため、通気性が悪くカビが発生しやすい環境です。また、お手入れが不十分な洗濯パンには、カビの栄養となるホコリ、髪の毛、皮脂や垢、洗剤カスなどの有機物質も豊富に存在しています。


このように、洗濯パンは、カビが生えやすい条件が揃っていることから、小まめなお手入れが必要です。

洗濯パンの隙間からホコリや髪の毛が入り込みやすい

洗濯機のすぐ近くに、洗面所や脱衣所、浴室があるご家庭も多いでしょう。洗濯パンの隙間から、抜け落ちた髪の毛やホコリが入り込み、洗剤の成分などと混ざって頑固な汚れになる場合もあります。

衣服やタオルに付着した糸くずも時間とともに蓄積していく

また洗濯物に付着した糸くずや綿ボコリなども、洗濯パンが汚れる原因の一つです。糸くずのような小さなゴミは、周辺の人の動きやドライヤーの風に乗って、簡単に洗濯機の下に入り込みます。


洗濯パンの隙間は狭いため、意識しないと糸くずなどのゴミを発見できないこともあります。気付かないうちに汚れがたまってしまうことがないよう、定期的にチェックしましょう。

洗濯パンの汚れは、日常生活の中で自然とたまっていくのですね。

はい。洗濯パンの汚れを放置すると、排水管の詰まりや悪臭の原因となります。洗濯パンは月に1回を目安としてお手入れし、カビ・ホコリ・髪の毛・糸くずなどの汚れを落としましょう。

洗濯パンを簡単に掃除する3つのコツ

洗濯機を移動させず、洗濯パンを手軽に掃除する方法を知りたいです。

洗濯パンがそれほど汚れていない場合は、洗濯機の隙間から掃除機でホコリを吸い取ったり、排水口の見えている部分を雑巾で拭いたりするだけでも構いません。また針金ハンガーと使い古しのストッキングがあれば、即席の掃除グッズを作れます。

ここでは、洗濯パンを簡単に掃除するコツを3つ紹介します。

洗濯機の隙間から掃除機でホコリを吸い取る

まずは洗濯機の隙間から、掃除機でできる限りホコリや髪の毛を吸い取りましょう。洗濯機・乾燥機用の付け替えノズル(隙間ノズル)があると便利です。


付け替えノズルは、先端が細く長くなっているため、洗濯機を動かさなくても奥の方まで掃除できます。お使いの掃除機によっては、洗濯機のメーカー専用のノズルが別売りされているため、型番に対応したものを使うとよいでしょう。

針金ハンガーにストッキングをかぶせて掃除グッズを作る

洗濯機用の付け替えノズルがなく、掃除機の吸い込み口が奥まで届かない場合は、身の回りにあるもので掃除グッズを手作りしましょう。


必要なものは、手で折り曲げ可能な針金ハンガー(スチールハンガー)と、使い古しのストッキングの2つです。


針金ハンガーを折り曲げて、長細いひし形に変形させ、その上にストッキングをかぶせましょう。針金ハンガーを洗濯機の下に差し込むと、ストッキングの摩擦によって静電気が発生し、小さなゴミやホコリを吸着してくれます。


隙間掃除用のフローリングワイパー(ホコリ取り)をお持ちの場合も、同様に摩擦による静電気の力で、洗濯パンのホコリを手軽に掃除できます。フローリングワイパーは、お近くのホームセンターなどで入手可能です。

見える範囲で排水口の周辺を濡れた雑巾で拭く

洗濯パンの排水口にたまった汚れは、水に濡らして固く絞った雑巾を使い、洗濯機の隙間から水拭きしましょう。


特に、排水口の周辺は、水垢やぬめりで汚れています。汚れがなかなか落ちない場合は、重曹水をスプレーし、スポンジや使い古しの歯ブラシなどでこすり洗いしてください。

身の回りにあるもので、簡単に洗濯パンをお手入れできるんですね。

はい。ただし、排水口が洗濯機の下に隠れている場合は、目に見える範囲の汚れしか綺麗にできません。匂いが気になる場合は、洗濯機を移動させ、排水口の部品を分解洗浄する必要があります。

洗濯パンの排水口を掃除する手順を4ステップで詳しく解説

洗濯パンの排水口を念入りにお手入れしようと思います。何から始めればよろしいでしょう?

まずは、洗濯機の電源をオフにし、電源プラグをコンセントから抜いてください。洗濯機の電源が入ったまま掃除すると、感電・火災の恐れがあります。

ここでは、洗濯パンの排水口を掃除する手順を4つのステップで解説します。

洗濯機の電源をオフにしてコンセントを抜いておく

漏電による感電・火災を防ぐため、洗濯機の電源は必ずオフにしましょう。特に、洗濯機の位置をずらさないと排水口に手が届かない場合は、電源プラグやアース線をコンセントから抜き、水に濡れないようにしてください。


また、洗濯機の蛇口(給水栓)を閉めておくことも大切です。洗濯機を動かすときや、排水ホースを取り外すときに水漏れしにくくなります。

洗濯機側から順番に排水ホースを取り外す

次に洗濯機の排水ホースを取り外します。


排水ホースは、ホースクリップと呼ばれる部品で接続口に固定されています。ほとんどのホースクリップは手作業で脱着できるでしょう。しかし、ネジ式のクリップの場合、取り外しにプラスドライバーが必要です。


水漏れを防止するため、排水ホースは洗濯機側から取り外しましょう。排水口側は、L字型の排水エルボごと引き抜いてください。


排水ホースの先端から、残水が漏れ出す可能性があるため、バケツやたらいを用意しておくとよいでしょう。

洗濯機を移動させ、排水口の周辺を掃除する

排水ホースを取り外したら、洗濯機を移動させ、排水口の周辺を掃除していきます。


水垢やぬめりなどは、固く絞った雑巾などで水拭きしてください。頑固な汚れは、重曹水をスプレーするか、浴室用洗剤(中性洗剤)を雑巾に染み込ませ、しっかりと拭き取りましょう。


皮脂や垢、ホコリなどの汚れは中性洗剤でも十分に落ちます。しかし、水垢やぬめりは酸性のため、弱アルカリ性の重曹水の方が効果的です。

排水口の部品を分解し、目皿や排水筒などを綺麗に洗う

最後に排水口の部品を分解洗浄します。


排水口の部品には、格子状のフタ(目皿)や、筒状のパイプ(排水筒)などがあります。取り外せるパーツは、浴室用洗剤(中性洗剤)を溶かした水に漬け置きし、汚れを浮かせてからスポンジなどでこすり洗いしてください。


ただし、排水口のタイプによっては、取り外せない部品があります。無理に取り外そうとすると、排水口の部品が破損する恐れがあるため、できる範囲で分解洗浄を行ってください。

なるほど、これなら簡単に排水口を掃除できそうです。

洗濯機を動かすのが大変ですが、それ以外はキッチンや浴室、洗面所でのお手入れとほとんど変わりません。年に2回を目安として、排水口の分解洗浄を行うとよいでしょう。

洗濯パンの役割は水漏れ・振動音の防止

ここでは、洗濯パンの役割について簡単に解説します。

洗濯機から水漏れした場合の受け皿になる

1つ目の役割は、洗濯機から水漏れした場合に受け皿となることです。


排水ホースの破損や接続不良、排水口の詰まりなど、洗濯機から水漏れする原因はさまざまです。洗濯パンを設置していれば、床面への水漏れを受け止め、床や壁への浸水を防げます。

振動音が階下や隣の部屋に伝わらないようにする

2つ目の役割は、洗濯機の振動音を軽減することです。


洗濯機を直接床に置くと、運転中の振動が階下や隣の部屋に伝わってしまいます。洗濯パンがあれば、洗濯機の振動を吸収し、騒音を予防できます。


特に、アパートやマンションなど、集合住宅にお住まいの方は、洗濯パンの上に洗濯機を設置するとよいでしょう。

洗濯パンには、実は大切な役割があるんですね。

はい。だからこそ、洗濯パンは定期的にお手入れすることが大切です。もし自力で掃除するのが難しい場合は、水回りのクリーニング業者に相談してください。ハウスクリーニングの比較サイトなら、全国の優良店から自分に合った業者を探せます。

洗濯パンは月に1回を目安として綺麗に掃除しよう

洗濯パンには、日常的に洗濯機を使用する過程で、カビ・ホコリ・髪の毛・糸くずなどの汚れがたまっていきます。洗濯パンの汚れを放置していると、排水管の詰まりや悪臭の原因になります。


月に1回を目安として、洗濯パンの目立つ汚れを綺麗にしましょう。念入りにお手入れしたい場合は、洗濯パンの排水口の分解洗浄を行うとよいでしょう。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。