換気扇

【専門家監修】換気扇の頑固な油汚れの原因や簡単に落とす4つのテクニック


換気扇にはなぜ油汚れがついてしまうんでしょうか。簡単に落とす方法はありませんか?

直接油が跳ねることのない換気扇ですが、実は調理中の油が水蒸気と一緒に流れてくることで、油汚れになってしまいます。時間がたつと、ホコリと混ざって頑固な汚れになるため、つけ置き洗いのように緩めることで、簡単に掃除できますよ。

換気扇の汚れは油とホコリが混ざり、時間が経過し酸化することで、頑固で落としづらい汚れになってしまいます。掃除のときはいきなりスポンジで擦るのではなく、汚れを緩めてから落とすのがポイントです。


この記事では、換気扇の油汚れの原因や放置するリスク、簡単に落とす方法を解説します。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。

換気扇に油汚れが付く原因

換気扇はコンロのように油が跳ねないのに、なんでギトギトの汚れができてしまうんですか?

実は、調理中に発生した水蒸気に油の分子が結合し、換気扇に吸い込まれることで油汚れになってしまいます。さらに、表面にホコリがつくと頑固な汚れを形成します。

換気扇のギトギト汚れは「油」と「ホコリ」でできています。換気扇に油汚れが付着するのは、調理中に発生する油を含んだ水蒸気が原因です。

調理油を含んだ蒸気が換気扇に吸い込まれる

油は蒸発した水分とくっつき、家中を飛び回ります。


食べ物を加熱すると水分が蒸発し白い煙となり、そこに油がつき換気扇に吸い込まれます。


そのため、換気扇には直接油が跳ねないものの、油汚れの元が次第に蓄積していきます。

換気扇で冷えて油汚れに

蒸気と一緒に吸い込まれた油は、換気扇のフィルターやファンにくっつき、冷えると元の液体状の油になり、溜まっていきます。溜まった油の酸化が進むと、落ちにくくベタベタとした茶色の汚れに変わります。

油汚れにホコリが付着し真っ黒で頑固な汚れに

酸化した油汚れを放置すると、そこにホコリやゴミが付着し、真っ黒で頑固な油汚れに変わります。ここまでくるとさまざまな悪影響をもたらします。

酸化した油にホコリがくっつくことで、真っ黒な汚れになるんですね。ここまでくると掃除も大変そう…。

そうですね。なので、頑固な汚れになる前に、早め早めにキレイにしておくことが大切です。

換気扇の油汚れを放置するリスク

汚い換気扇は嫌ですけど、人目に触れない場所だし…。ちょっとくらい掃除をさぼっても平気ですよね?

ちょっとくらいなら大丈夫ですが…。実は換気扇の油汚れを放置すると、これから紹介するような、さまざまなリスクにつながります。

換気扇の油汚れは、悪臭の発生や健康被害の可能性などさまざまなリスクにつながります。長年の汚れが蓄積していると、その分リスクも高まるためとくに注意しましょう。

悪臭の原因になる

換気扇に汚れが溜まると、換気がうまくできず、調理後も室内に臭いが残る原因になります。また、水蒸気に乗った油が飛散し部屋の中が汚れやすくなる原因にも。


さらに、酸化した油汚れが溜まった換気扇は、それ自体が悪臭の原因にもなってしまいます。

換気扇が故障する

ファンに油汚れが付着すると、そこだけ重さが偏りバランスが悪くなってしまいます。この状態で使い続けると回転軸が変形し、換気扇の故障につながります。


また、湿度を含んだ汚れが長く付着すると、サビの原因にもなってしまいます。

健康被害の可能性

換気扇は室内の空気を循環させ、酸素を取り込み、ホコリや花粉を排出する役割も担っています。


空気の流れが悪い家で換気扇の汚れを放置すると、調理中の一酸化炭素中毒や、花粉症などのアレルギーの原因となってしまうことさえあります。

火事の原因になる恐れも

油を含んだ大量のホコリは着火しやすく、大変危険な状態です。最悪の場合、火事につながる恐れもあります。


とくに換気扇由来の火災では、コンセントの接続部分から発火し燃え広がるケースが多いため、掃除を怠らないようにしましょう。

火事や健康被害の原因にもなるなんて!これはこまめに掃除しないと怖いですね。

換気扇本来の機能を発揮するためにも、最低年に1~2回はしっかりと掃除したいですね。

換気扇掃除の下準備

早速、換気扇を掃除したいと思います。でも、何から始めたらよいでしょうか?

換気扇を安全・簡単に掃除するためにも、電源を落とす、下に新聞紙を敷くなど、下準備から始めましょう。

安全に換気扇の掃除を進めるために、まずは下準備から始めましょう。必要な手順を解説します。

掃除に必要なものを用意する

換気扇の掃除では下記のものを準備すると役立ちます。

  • ゴム手袋
  • マスク
  • 45Lゴミ袋
  • スポンジ
  • 歯ブラシ
  • 雑巾
  • 新聞紙
  • 洗剤類

これらを事前に用意してからスタートしましょう。

換気扇の電源を落とし、コンセントを抜いておく

掃除中の怪我を防止するため、換気扇は電源を落とし、コンセントを抜いておきます。キッチン全体のブレーカーを落としておくとさらに安心です。

ガスコンロはガスの元栓を締める

換気扇がガスコンロの近くにある場合は、誤作動防止のため、ロックをかけたり、ガスの元栓を締めたりしましょう。

キッチンが汚れないように新聞紙を敷く

キッチンに汚れやキズが付かないように、全体に新聞紙を敷いておきましょう。こうしておくと、分解した換気扇を置くときも汚れを気にせずに済みます。

換気扇を分解する

準備が整ったら、換気扇を分解し洗える状態にします。

  • フィルター
  • ファン
  • ドラム
  • ネジ

なお、換気扇の種類によっても分解できるパーツは異なります。

ファンが回っているし、下にはガスコンロもあるし、危険のある場所だから十分に注意したいですね。

そうですね。下準備をしっかりすると安全面に配慮できるだけでなく、手際よく掃除を進められます。

換気扇の頑固な油汚れを落とす4つのテクニック

こびりついた油汚れ、簡単には落ちなさそうですね。なにかよい方法はありませんか?

先に目だった汚れを落とす、パーツごとに適した方法で清掃するなど、いくつかコツがありますので解説します。

換気扇の頑固な汚れは、パーツごとに適した落とし方があります。また、目だった汚れはあらかじめ新聞紙で取り除くこともポイントです。


簡単にできる4つのテクニックを解説します。

レンジフードは洗剤で拭き掃除

レンジフードなど、取り外しができない部分は洗剤をつけた雑巾で拭きましょう。利用する洗剤は下記のような、アルカリ性のものが適しています。

  1. 油汚れ専用洗剤
  2. 重曹水スプレー(100mlの水に小さじ1杯の重曹を溶かす。)
  3. セスキ水スプレー(200mlの水に小さじ0.5杯のセスキ炭酸ソーダを溶かす。)

2、3はスプレーボトルに入れて使いますので、事前に準備しましょう。

レンジフードの頑固な汚れはパックして汚れを浮かび上がらせる

レンジフードの頑固な汚れは、洗剤を染み込ませたキッチンペーパーでパックして汚れを浮かび上がらせます。洗剤だけでなく、重曹水でも対処できます。


また、乾燥が気になるときは、上からラップをしてテープで固定するとよいでしょう。5~10分程度置いておくと、汚れが浮かび上がり拭くだけで簡単に掃除できます。

フィルターは重曹をふりかけ歯ブラシで汚れをかきだす

目の細かいフィルターの掃除では、スポンジで洗う前に、重曹で汚れをかきだします。

  • 汚れている面を上にして置く
  • 全体にたっぷりと重曹をかける。
  • 3時間程度そのままにして、汚れと馴染ませる。
  • 歯ブラシを使い、細かい汚れをかきだす。
  • 最後にお湯で洗い流し乾燥させる。

もし、上記の方法でも汚れが落ち切らないときは、次に紹介するつけ置き洗いを試してみましょう。

ファンなどの頑固な油汚れはつけ置き洗い

時間のたった頑固な油汚れは、つけ置きして汚れをゆるめてから掃除しましょう。

  1. 45Lゴミ袋に換気扇のパーツを入れる。
  2. 40~50度のお湯を用意し、1の袋に入れる。
  3. 溶かした洗剤を2の袋に入れる。
  4. 1時間程度つけ置く。
  5. 汚れが浮かび上がったら、スポンジや歯ブラシで洗う。
  6. 最後にお湯で洗い流し、パーツを乾かす。

使う洗剤は下記のように、ある程度洗浄力の強いものが適しています。

  • アルカリ性洗剤
  • 酸素系漂白剤(粉末タイプ)
  • セスキソーダ+重曹(1:1で配合)

もし、つけ置き後も汚れが残っているなら、スポンジや歯ブラシに洗剤をつけて洗いましょう。多少の汚れなら中性洗剤でも問題ありません。

なるほど、全部同じように洗うのではなく、パーツによって適した方法で掃除するといいんですね。

そうですね。少し手間に感じますが、この方法が簡単に換気扇の油汚れを落とすポイントです。

油汚れのない換気扇の状態を保つ方法

換気扇はキレイな状態を長くキープしたいですね。よい方法はありませんか?

不織布フィルターを使う、こまめに掃除するなどが汚れのない状態を保つ方法です。他にも簡単にできる方法をご紹介します。

使用頻度の高い換気扇は、掃除をしてもすぐに汚れてしまいます。簡単にキレイな状態を保つ方法を解説します。

柔軟剤で汚れやホコリを防止する

換気扇を掃除した後は、水200mlに柔軟剤小さじ1を入れ、雑巾に含ませてから全体を拭きましょう。


柔軟剤に含まれる界面活性剤には静電気防止効果があるため、ホコリや汚れをはじいてくれます。

ホコリ防止フィルターをつけ、こまめに取り替える

フィルターの上には不織布のホコリ防止フィルターをつけると、換気扇の中が汚れるのを防いでくれます。2~3ヵ月に1回を目安に取り替えるとより効果的です。

日々掃除する

レンジフードなど、掃除ができそうな部分は使う度、掃除しましょう。


また、換気扇の掃除も、半年に1回程度行うとキレイな状態をキープできます。

やっぱり、毎日少しずつでも手入れをしておくのが大切なんですね。

そうですね。時間が取れるなら、日々コツコツ掃除をしておくと大掃除も簡単に終わりますね。

手間も時間もかかる換気扇の掃除は、プロに任せるのがおすすめ!

換気扇の掃除は、つけ置き洗いのように時間をかければ、誰でも簡単に掃除できます。


もし、十分な時間が取れないなら、ハウスクリーニングのプロに依頼するのもおすすめです。プロ仕様の洗剤と高い技術力なら、個人では掃除が難しい頑固な汚れもピカピカに落とすことができます。


依頼するときは、複数社から見積りを取り、信頼できる業者を見つけてから相談してみましょう。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。