【専門家監修】レンジフードの掃除の仕方や行う頻度・準備すべきものを解説
このページの内容
レンジフードや換気扇の汚れが気になっています。楽に掃除できる方法はありますか?
レンジフードや換気扇の掃除は、頑固な油汚れをどのように落とすかがポイントです。必要なアイテムをそろえて、手順にしたがって掃除しましょう。
キッチンに付く汚れは落としにくいものが多く、掃除は手間暇を掛ける覚悟が必要です。中でもレンジフードや換気扇は「場所的に手を出しにくい」「汚れがひどそう」などと感じられ、つい後回しにされがちです。
実際のところ、レンジフード・換気扇はどのように掃除するべきなのでしょうか?
ここからは、掃除のプロがレンジフード・換気扇掃除の必要性や掃除頻度、さらには掃除前にそろえたいアイテムや掃除の手順・コツを紹介していきます。
レンジフード・換気扇の汚れが気になっている人は、掃除の参考にしてみてくださいね。
小原 匡人
早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。
そもそもレンジフードの掃除は必要?
レンジフードや換気扇には、どんな汚れが付きますか?
レンジフードや換気扇に付着するのは、主に油汚れです。きちんと掃除しないと臭いや故障の原因となるので注意しましょう。レンジフードや換気扇の掃除が必要な理由について、詳しく紹介します。
レンジフード・換気扇は高い場所にあって、直接火に掛けたり濡らしたりするものではありません。
とはいえ汚れはたまるため、やはり掃除は必要です。レンジフードに付く汚れや、掃除しないことのデメリットを見ていきましょう。
レンジフードや換気扇に付くのは変性油
レンジフードや換気扇に付着するのは、主に熱によって変性した油。ギトギトしていて、触れると不快なベタベタ感があります。
レンジフードや換気扇は、調理中の蒸気・臭いを外に排出するための装置です。調理中の汚れはレンジフードや換気扇には付着しにくいように見え、油汚れが付くのをいぶかしく思う人もいるかもしれません。
しかし実際のところ、レンジフードや換気扇は、蒸気だけでなく調理中の油やホコリも一緒に吸い込んでいます。放置すると油とホコリが交ざったものがべったりと付着し、冷え固まって頑固な「複合汚れ」となってしまうのです。
熱変性した油はより落ちにくく・洗浄しにくくなる傾向があります。時間がたって複合汚れが積み重なっていけば、ちょっとやそっとでは落とせなくなるでしょう
放置するとキッチンがベトベトになるかも
レンジフードや換気扇を掃除せずに放置すると、換気機能の低下が懸念されます。調理中の空気をきちんと排出できず。キッチンの壁・床・天井などがベトベトになってしまうかもしれません。
揚げ物などで油を消費したとき、油は蒸気にくっついて空気中に漂います。このとき換気扇がきちんと稼働しなければ、油を吸い込んで排出できません。油は蒸気と一緒にキッチン中に広がっていき、気付かないうちにさまざまな場所を汚染してしまいます。
空気中に含まれた油は、想像以上に広範囲に流れていくため要注意です。あまりにも換気扇の状態が悪い場合は、キッチン内だけではなく、隣接する部屋にまで油汚れが広がる恐れがあるでしょう。
電気代アップ・故障・火事につながることも
換気扇が汚れによって目詰まりすると、従来と同等のパワーでは換気機能を発揮できなくなります。換気のためにより多くのパワーが必要となって、電気代がかさむ恐れがあるでしょう。
また、換気ができなくなるということは、調理中の蒸気がキッチン内にとどまりやすくなるということです。室内に湿気がたまりやすく、キッチン内の空気は常にジメッと不快な状態になってしまいます。結露が発生したり、窓や壁などにカビが生えてしまったりする原因となるでしょう。
このほか、油汚れによってレンジフードや換気扇の腐食も懸念されます。加えて酸化した油汚れは引火しやすい性質もあるため、こびり付いた油に起因する火災の危険性もゼロではありません。
レンジフードや換気扇の汚れを放置すると、キッチン全体が汚れたり設備が故障したりする恐れがあるのですね。
その通りです。最悪のケースだと火事になる危険もあるため、「たかが油汚れ」と軽視し過ぎないようにしましょう。
レンジフード掃除の適切な頻度やタイミング
レンジフードや換気扇の掃除って、どのくらいの頻度で行えばいいのでしょうか?
油を使った調理が多い家庭なら、なるべく小まめに掃除した方が安心です。「汚れが気になってから掃除しよう」と曖昧にせず、「○カ月に1回」としっかり決めておくのがベターです。
レンジフードや換気扇の換気扇は、タイミングをあらかじめ決めて掃除するときれいな状態を保ちやすくなります。
レンジフードや換気扇をきれいに保つための、掃除の頻度やタイミング紹介します。
なるべく掃除に時間を掛けたくないなら月に1~2回
熱変成した油汚れは、放置時間に比例して掃除に掛かる時間も多くなってしまいます。最低でも月に1回の頻度で掃除して、油汚れのこびり付きを防ぎましょう。レンジフードや換気扇のコンディションは常に良好で、ピカピカの状態を保ちやすくなります。
掃除のタイミングは特に問いませんが、揚げ物をした日は油の飛び散りが激しくなります。揚げ物の翌日は、掃除に適したタイミングの一つです。
また、喫煙者のいる家庭は、月に2回掃除した方がよいかもしれません。タバコを吸うとヤニの混じった煙が出て、レンジフードや換気扇にこびり付きます。レンジフードや換気扇・周辺の壁が、油と混じって黄色くなるでしょう。
これを防ぐには「15日と30日は掃除の日」などとルーティン化して、徹底的にきれにした方が安心です。
大掃除の負担を減らすなら3カ月から半年に1回
小まめな掃除が理想とはいえ、「月に1~2回は負担が大き過ぎる」という人もいるでしょう。この場合は、3カ月から半年に1回程度でも構いません。
定期的に掃除をすることで汚れを落としやすくなり、掃除の負担を軽減できます。
掃除のタイミングは、気温が下がる季節よりも暖かい季節がおすすめです。
油汚れを緩めやすくなる上、水を使うのが苦になりません。寒さに震えながら掃除に取り掛かるよりも、気分的に気楽に掃除できるでしょう。
まとめて掃除したい派は年に1回
レンジフードや換気扇の掃除というと、やはり「大掃除」のイメージ。「年末にキッチンの大掃除をするとき、一気にやる」という人も多いようです。
日本人にとって、年末の大掃除は「掃除をしなければ」という気持ちになりやすいタイミングといえます。普段なかなか掃除しない人も、重い腰を上げやすいでしょう。
ただし、年に1回の大掃除ではレンジフードや換気扇に汚れがこびり付いている恐れがあります。「こすっただけで落ちる」という簡単なものではなく、汚れを削ったり浸け置きしたりと掃除の工夫が必要になるでしょう。
時間をあけるほど、掃除が大変になるんですね!でも、月に1~2回も掃除するのは大変そうです。
忙しい人は、無理に掃除をする必要はありません。年に1回の大掃除でも、時間を掛ければきちんときれいになりますよ!大切なのは「定期的に掃除すること」です。
レンジフードの掃除に必要な道具・洗剤
レンジフードや換気扇を掃除するとき、用意しておいた方がいいものはありますか?なるべく楽に掃除をしたいのですが……。
レンジフードや換気扇の掃除でも、キッチン掃除に使う道具を使えます。ただし洗剤は、汚れのレベルによって使い分けるのがおすすめです。一つ一つ、詳しく紹介しますね。
レンジフードや換気扇を掃除するときは、道具を全てそろえてから始めましょう。適材適所で道具を使えば、油汚れを落とすのも難しくはありません。
厚手で長さのあるゴム手袋・バケツ
ゴム手袋は、こびり付いた油汚れや冷たい水、さらには洗剤の成分から手を守るために必要です。
油汚れがひどければひどいほど、汚れをこすったり水・洗剤に触れたりする時間が長くなります。水ではなくお湯を使って掃除するケースもあるので、皮膚が弱い人は手がボロボロになってしまうかもしれません。長時間の掃除にも耐えられるよう、なるべく厚手・長めの手袋を用意しましょう。
またバケツは、レンジフードの部品を浸け置きする際に使います。
古布・雑巾
古布や雑巾は、レンジフードの汚れ落としに使ったり、洗浄後の水気を拭き取ったりするために使います。最終的に油汚れでひどく汚れるため、掃除後に廃棄できるものがベターです。
真新しい布・雑巾を使うよりは、心置きなく使える使い古しのものを用意しましょう。
新聞紙・ゴミ袋
新聞紙は、レンジフード下が汚れないよう、養生のために使います。レンジフードや換気扇を外すとき、ゴミや汚れが落ちてくるかもしれません。周辺にまで汚れが飛び散らないよう、しっかりと準備をする必要があるのです。
一方、ゴミ袋はレンジフード内の部品で、外せるものを浸け置き洗いするときに使います。ゴミ袋を割いてシンク全体に広げたり、バケツ代わりに使ったりしましょう。
破れてしまうことも想定して、複数枚用意いておくのがおすすめです。
スポンジ・ブラシ・ヘラ
レンジフードや換気扇の油汚れ落としに必要です。油汚れが軽い場合は、スポンジやブラシだけでも落とせます。しかし、油がノリのようにべったりと付着している場合は、より硬く尖ったヘラを使う方が簡単です。油汚れをこそぎ落とせれば、掃除の手間も省けるでしょう。
なおヘラがない場合は、硬く尖ったもので代用できます。廃棄予定のカードや定規などがあれば、それを用意してください。
ナチュラル系洗剤
油汚れが比較的軽度の場合は、重曹・セスキ炭酸ソーダといったナチュラル成分で対応可能です。これらは天然素材で使いやすく、水に流しても環境を汚染しません。子どもやペットがいる家庭・エコな掃除をしたい家庭にはぴったりです。
油汚れは、酸性の性質を持ちます。これに対し、重曹やセスキ炭酸ソーダはアルカリ性。酸性の油汚れと相性がよい上、安価で購入できるメリットもあります。
なお、両者のうちよりアルカリ性が強いのはセスキ炭酸ソーダです。レンジフードの油汚れがひどい場合は、セスキ炭酸ソーダを選びましょう。
ただしセスキ炭酸ソーダは皮膚のタンパク質を溶かしてくれる性質があるため、使用の際はゴム手袋が必須です。
酸素系漂白剤
酸素系漂白剤は、弱アルカリ性の洗剤です。同じ漂白剤でも塩素系よりも弱く、イヤなニオイもありません。換気等で神経質になり過ぎる必要もないので、レンジフード掃除にも使いやすいでしょう。
レンジフード掃除後は、色柄もの用の漂白剤としても使えます。
油汚れ専用洗剤
頑固な油汚れにも対応できる、油汚れに特化した洗剤です。
弱アルカリ性・アルカリ性のものが多く、スプレー式で手軽に使えるものも少なくありません。
商品の選択肢はさまざまありますが、汚れを簡単に落としたいなら「業務用」を探してみるとよいでしょう。
なるほど。掃除道具や洗剤など、たくさん用意するものがありますね。
必要な掃除道具がそろっていれば、どんな汚れにも対処しやすくなります。効率良く掃除できるよう、事前にチェックしておくとよいですね。
レンジフードの正しい掃除方法
レンジフードは、どのような手順で行えばよいですか?
まずは周辺をきちんと養生して、レンジフードを開けてください。それからフードからフィンや部品を取り出して、油汚れをしっかりと落とします。毎日掃除できない場所だからこそ、きちんと汚れを取りきりましょう。
レンジフードの掃除は、浸け置きで油汚れを緩めるのが最も効率のよい方法です。手順にしたがって、こびり付いた汚れをキレイにしていきましょう。
キッチン周りを新聞紙で覆う
まずはレンジフード下を新聞紙で覆います。コンロの上はもちろん、壁・床などにも油汚れが飛び散ってしまうかもしれません。なるべく広範囲にわたって、しっかりと養生してください。
床は水がこぼれることもあるため、ビニールシートを敷くのもおすすめです。
シンクをビニールで覆う
レンジフード内にある換気扇・フィルターの掃除は、主にシンクで行います。シンクに傷や汚れが付かないよう、ビニールで養生が必要です。
ただし、シンク一面をビニールで覆ってしまうと、汚れた水を流せません。排水口部分は挟みでカットするなどをして、排水機能は確保しておきましょう。
シンクに敷くのは大きめのビニールシートなどでもよいですが、手軽なのは大きめのゴミ袋です。切って開いて、ビニールテープやガムテープで止めましょう。
バケツに洗剤液を作る
バケツにゴミ袋を入れて、その中に洗剤液を作っておきましょう。後でレンジフードの部品を浸け置きするために使います。
使用する洗剤は重曹やセスキ炭酸ソーダでもよいですが、頑固な汚れには酸素系漂白剤がおすすめです。規定量の酸素系漂白剤を50度程度のお湯に溶かすだけなので、難しいことはありません。
レンジフードの部品がしっかり浸かるよう、多めの洗剤液を用意しておきましょう。
レンジフードの部品を洗剤液に浸ける
一通り養生が終わったら、レンジフードを開けます。それから、内部にある換気扇・フィルターといった取り外し可能な部品を取り出しましょう。このとき内部はかなり汚れているため、必ずゴム手袋を装着してください。
取り出した換気扇やフィルターは、先ほど作った洗剤液に入れます。このとき、部品全体をしっかりと浸すのがポイントです。
およそ10~15分程度で取り出してよいですが、汚れ落ちが悪い場合は少し長めに浸しておきましょう。
レンジフード外側・内側の汚れを落とす
部品を洗剤液に浸している間に、レンジフードの掃除を行います。スプレー式の油汚れ専用洗剤を吹き付け、スポンジ等で拭き取りましょう。汚れがひどい部分は少し待ってからこすると、落としやすくなります。
一通り汚れが落とせたら、雑巾や古布でレンジフードに残った汚れやスプレー液の跡をきれいに拭き取ってください。
レンジフードの部品の汚れを落とす
洗剤液にしばらく浸けると、換気扇やフィルターから汚れが浮かび上がってくるはずです。油汚れが浮いていたらバケツから取り出し、ブラシ・スポンジ・ヘラ等で汚れをこすり落としましょう。
水を掛けて汚れをきれいに洗い流せば、こびり付いた汚れは落ちてしまいます。その後は乾いた古布・雑巾で、部品に付いた水気を拭き取ってください。
レンジフードの部品を元に戻す
換気扇やフィルターをしっかりと乾燥させたら、元の場所に戻します。レンジフードがきれいになっていることを確認して、フタを閉めたら完成です。
油汚れは、浸け置き洗いがいいんですね。
時間がたってこびり付いた油汚れは、ただゴシゴシこするだけではなかなか落とせません。洗剤液で汚れを緩めて、根こそぎ落とし切ることが大切です。
レンジフードを掃除するときのコツ
レンジフード周りの掃除は、やはり大変そうですね。スムーズに掃除するためのコツなどは、あるのでしょうか?
そうですね。洗剤パックはお掃除テクニックとして広く知られており、レンジフード掃除にも応用できます。とはいえ汚れがひどい場合は、完璧にきれいにするまでに大変な手間暇が掛かるかもしれません。手間なくレンジフード周りをきれいにしたいなら、プロに依頼することも考えましょう。
取り外せないレンジフード周りは、浸け置き洗いできません。洗剤パックで汚れを緩めてから掃除に取り掛かりましょう。
また、掃除のプロは手際がよく、しっかりきれいにしてくれます。プロにレンジフード周りの掃除を頼んだ場合についても見ていきましょう。
洗剤パックで洗剤を浸透させる
取り外し可能な部品は浸け置き洗いで対応できます。しかし、外せない部分にこびり付いた油汚れは落とすのに苦労するでしょう。
この場合、よごれた部分を洗剤でパックして、汚れを浮かせるのがおすすめです。まずはキッチンペーパーを用意して、油汚れ専用洗剤をたっぷりと吹き付けましょう。
キッチンペーパーを汚れの上に貼り付けたら、ラップで覆っておきます。そのまま15~20分程度置いておけば、汚れが緩んできます。乾いた古布・雑巾で拭き取れば、ピカピカになるでしょう。
プロに依頼してみる
あまりにも油汚れがひどい場合は、掃除のプロに依頼してみるとよいでしょう。掃除のプロはレンジフード周りの掃除を熟知している上、市販されていないプロ仕様の洗剤・道具を使います。汚れ落ちが各段によく、何層にも重なった油汚れもきっちりきれいにしてくれます。
また、プロに依頼すれば、掃除のためにキッチンに貼り付いている必要はありません。その時間をほかの場所の掃除や自分のやりたいことに使えるため、時間を効率良く使えるでしょう。
確かに、1人でレンジフード周りを掃除すると気持ちがくじけそうです。プロにお願いした方が、遙かに満足のいく仕上がりになりそうですね。
レンジフードの油汚れは範囲が広く、掃除には時間が掛ります。養生したりお湯を準備したりと手間も多いため、それだけで1日が終わってしまうかもしれません。掃除のプロに任せた方が、体力・時間を温存できますよ。
レンジフードの掃除はプロに依頼すると安心
レンジフードや内部の部品には、熱変性した油汚れ・ホコリが混じり合ってくっついています。小まめに掃除するなら月に1~2回、最低でも年に1回はきちんと汚れを落としましょう。
レンジフード周りの掃除は家庭でもできますが、手間や時間は掛かります。「時間がない」「ピカピカな状態にしたい」などと思う場合は、掃除のプロに任せた方が安心です。
レンジフードの頑固な油汚れを落とすには、かなりの気力・体力が必要。ストレスを感じたら、無理せず掃除できる方法を選択しましょう。
小原 匡人
早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。
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