【専門家監修】壁紙にカビが生える原因や落とし方のポイントを徹底解説



部屋の隅や家具の裏など、いつのまにか壁紙にカビが生えていました。どのように掃除すればよいでしょうか?

壁紙のカビは部屋の湿度が原因で生えてしまいます。また、素材により掃除の仕方も変わるため注意が必要です。ここでは、壁紙にカビが生える原因と掃除の仕方、予防方法を解説します。

壁紙のカビは高い湿度や、水漏れにより発生します。カビは放っておくとアレルギーの原因にもなるため、正しい対処が必要です。


この記事では、壁紙にカビが生える原因やリスク、落とし方のポイントを素材別に解説します。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。

部屋の壁紙にカビが生える主な原因

なぜ部屋の壁紙にカビが生えてしまうんでしょうか?

壁紙にカビが生える最大の原因は湿気です。また、屋根や水回りから水漏れをしていると、そこからカビが生えてしまうこともあります。

カビは水分・酸素・温度・栄養分が整った環境があれば、容易に繁殖します。雨が多く、湿度の高い日本では壁紙にカビが生えやすい条件が整っています。

最大の原因は“湿気”

壁紙にカビが生える最大の原因は湿度の高さです。雨季から夏にかけて亜熱帯地域なみに湿度の上がる日本では、カビが生えるリスクが高まります。


また、玄関やお風呂場、キッチンや地下室、家具の裏側も湿気がこもりやすいため、カビが発生しやすいポイントです。

換気不足もカビの発生につながる

換気不足は部屋の湿度を上げるため、カビが生える一因になります。とくに気密性の高い住宅は熱だけでなく湿気も逃げにくいため、定期的な換気が必要です。


また、部屋の日当たりが悪かったり、室内で洗濯ものを干していたりするなら、換気のほかに、除湿器を使うなど湿度対策をとるとよいでしょう。

雨漏りや水漏れがカビの原因となることも

湿度だけでなく、屋根からの雨漏りや、キッチンの水漏れが原因で壁紙が水分を含み、カビが生えてしまうこともあります。天井や水回りの壁紙に大量のカビが生えているときは、水漏れがないかも確認しましょう。


また、冬に室内外の寒暖差が激しい地域では、窓の結露から壁紙に水分が移り、カビが生えてしまうこともあるため注意しましょう。

確かに、部屋の隅の方や押し入れの壁紙など、湿気がたまっていそうなところにカビが生えますよね。

そうですね。カビは少量の水分と適切な温度、酸素や栄養があるとすぐに繁殖してしまいます。そのため、まずは湿度を減らすことが大切です。

壁紙に生えたカビを放置するリスク

壁紙にカビが生えると、具体的にどのようなリスクがあるんでしょうか?

見た目が悪いだけでなく、健康被害やダニの発生、さらに建材への浸食などさまざまなリスクを含んでいます。壁紙のカビは放置せず、早めの対処が肝心です。

壁紙に生えたカビで健康被害につながる可能性もあります。また、壁の奥まで浸食してしまうと、建材から取り換えが必要です。そうなると数十万単位の費用がかかってしまうケースもあります。

健康に悪影響を与える

カビの胞子は空気中に漂い、増殖に都合のよい環境をみつけるとそこで塊を作り目に見える形に成長します。


空気中に放たれたカビの胞子は、吸い込むとアレルギー性鼻炎や喘息の原因ともなり得ます。これらのアレルギーは長い時間をかけて発症することもあるため、子どもの場合、成人になってから影響がでる可能性も否めません。


さらに、体力のない高齢者や幼い子どもは肺炎などを発症する恐れもあります。また、カビは、頭痛やめまい、倦怠感を伴う“シックハウス症候群”の原因のひとつとしても上げられます。


このように、カビを放置すると健康リスクが高まってしまいます。

ダニや害虫が発生することもある

実はカビをエサにする害虫は多く、コナダニやチャタテムシはその代表格です。カビは放置すれば大きくなるだけでなく、これらの害虫にとっても心地よい環境ができあがってしまいます。


また、ダニのフンや死骸はアレルギーを引き起こすほか、刺されると痛みや痒みの原因にもなってしまいます。

ボードの取り換えが必要なケースも

カビの範囲が小さいなら、自分でキレイに落とせます。しかし、壁紙のカビを放置した結果、石膏ボードのような建材にまで浸食してしまうと、該当箇所の総取り換えが必要となるケースもあります。


上記の作業をすれば、ボードの取り換え、除カビ・防カビ処理、壁紙の張り替えと、多くの時間とお金がかかってしまいます。


そのため、壁紙のカビは小さいからと放置せず、早めの対処が肝心です。

カビをエサにダニが繁殖…。想像しただけでもゾッとしますね。しかも建材も傷めてしまうなら、すぐにでも掃除した方がいいですね。

そうですね。カビは繁殖力が強いので、後で掃除しようと思って日にちが空いてしまうと、倍の大きさに成長する種もいます。早め早めの対処が大切です。

素材別 壁紙に生えたカビの落とし方

カビ落としといえば塩素系漂白剤ですが、壁紙にも使って問題ありませんか?

水を吸うタイプの壁紙に塩素系漂白剤を使ってしまうと、壁紙が傷む原因となるため適していません。対処方法をご紹介しますので、素材に合った方法でカビを落としてみてください。

壁紙のカビは素材により落とし方が異なります。とくに、水を吸うタイプの素材はゴシゴシと拭くと壁紙を傷めてしまうので注意しましょう。

水を吸う壁紙(紙・布製など)

塩素系漂白剤の使えない紙・布製などの壁紙は、酢と重曹の2つを使ってカビを落とします。


【必要な道具】


酢、重曹、消毒用エタノール、水、スプレーボトル2本、雑巾


ステップ1

  1. 壁紙のホコリや汚れを雑巾で取り除く。
  2. スプレーボトルに、2倍に薄めたお酢を用意する。
  3. カビにスプレーし落ちやすい状態にする。

ステップ2

  1. 水100mlに重曹小さじ1を溶かし、スプレーボトルに入れる。
  2. 1をカビに吹きかけ、5分程度置く。
  3. 雑巾でカビを拭き取る。
  4. 最後に消毒用エタノールを吹きかけ、よく乾かす。

もし、カビが残っていたら、歯ブラシで優しくこすったり、固く絞った雑巾で拭いたりしてみましょう。それでも跡が残っているなら、壁紙用のカビ取り洗剤を使うのも有効です。

耐水タイプの壁紙(ビニールクロス製など)

上記の方法は、耐水タイプの壁紙にも有効です。さらに、ビニールクロス製などの壁紙は塩素系漂白剤が使えるため、カビが落ちきらないときは下記も試してみましょう。


【必要な道具】


塩素系漂白剤(ジェルタイプ)、歯ブラシ、雑巾

  1. 歯ブラシに塩素系漂白剤をつけて、カビに塗りこむ。
  2. 最後に雑巾で水拭きし、しっかり乾燥させる。

ただし、色落ちの可能性があるため、目立たない場所で試してから使いましょう。

土壁・漆喰・珪藻土

土壁のように、水分を吸収する性質のある素材も漂白剤を利用できません。そのため、消毒用エタノールスプレーを使いカビを除去します。


【必要な道具】


消毒用エタノール、スプレーボトル、雑巾

  1. 表面のホコリや汚れを雑巾で取り除く。
  2. 水で濡らし、固く絞った雑巾で優しくカビを落とす。
  3. 2で落ち切らないときは、消毒用エタノールを吹きかける。
  4. 最後に表面をよく乾かす。

なお、消毒用エタノールには漂白作用はないため、カビの色は落ちません。もし、色も落としたいなら、土壁や漆喰専用のカビ取り洗剤を使ってみましょう。

木材

木製の壁も漂白剤が使えないため、アルコールで除菌します。


【必要な道具】


消毒用エタノール、スプレーボトル、キッチンペーパー

  1. 表面のホコリや汚れを雑巾で取り除く。
  2. キッチンペーパーに消毒用エタノールを含ませ、カビが生えているところを拭く。一度使ったものは捨てて新しいものを用意する。
  3. 周辺の壁もよく拭く。
  4. 最後に表面を乾燥させる。

上記でカビが落ち切らないときは、木材専用のカビ取り洗剤も活用してみましょう。

なるほど、壁紙の素材ごとに適した方法で、カビを落とすのが大切なんですね。

デリケートな素材の壁紙なら、事前に目立たない場所で試すのも大切です。せっかくカビが落ちたのに、壁紙に傷がついてしまっては残念ですからね。

壁紙に生えたカビを落とす際の注意点

壁紙のカビを落とすとき、注意点はありますか?

カビの胞子を吸い込まないこと、壁紙を傷つけないこと、また、カビを再発させないことが大切です。

壁紙のカビを落とすときは、カビの胞子を吸い込まないようにしましょう。また、清掃後はカビを再発させない工夫も必要です。

作業中はカビの胞子を吸い込まないようにする

カビを落とすときは、胞子を吸い込まないよう十分注意しましょう。雑巾は何枚か用意し、使う都度取り換えると効果的です。また、作業の際はマスクやゴーグル、手袋を利用し、清掃後は換気してカビの胞子を外に逃がしましょう。

壁紙を傷つけないようにする

カビを取るときは壁紙を傷つけないよう、優しく作業しましょう。賃貸物件などで壁紙に大きなキズをつけてしまうと、張り替えが必要になることもあります。もし、カビ取りに自信がないなら、ハウスクリーニングのプロに依頼するのもひとつの方法です。

カビの再発に気を付ける

最後に、壁紙のカビを取り除いた後は、再発させないようにしましょう。こまめに換気する、除湿器を使う、家具の場所を適宜移動するなど、湿気がこもらないように工夫するとよいでしょう。

カビが大きく成長した後だと胞子を吸い込みそうだし、間違って壁紙にキズをつけるのも不安…。慎重に掃除しないとだめですね。

そうですね、もし自分で処理するのが難しいなら、ハウスクリーニングのプロに依頼するのもおすすめです。壁紙を傷めることなく、除カビ処理もしてもらえるので安心です。

壁紙のカビに困っているなら、ハウスクリーニングのプロに相談してみよう!

壁紙のカビは部屋の湿度が大きな原因です。そのため、適度な換気はカビの発生を防ぐ上で役立ちます。また、カビが生えたら壁紙の素材に合わせた方法で掃除しましょう。


もし、掃除方法に不安があるなら、ハウスクリーニングのプロに相談するのがおすすめです。壁紙のようにデリケートな素材はプロの技術で掃除してもらえば、傷つける心配もありません。


清掃業者を選ぶ際は、複数社から見積りを取り、相場と照らし合わせることが信頼できる業者を選ぶポイントです。


小原 匡人

早稲田大学国際教養学部卒。
その後、ハウスクリーニング専門ポータルサイト「おそうじ合衆国」の立ち上げに参画。公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が主催する「ハウスクリーニング技術研修会」へ積極的に参加し、ハウスクリーニング業者との密接な関係構築・情報交換に努めています。収納や清掃をテーマに、様々な記事の監修・執筆にも関与。ハウスクリーニングアドバイザー取得。